2012年01月11日

桃の花

じーちゃんは絵描きだった。

会う前に死んじゃったけど。

話しでしか 会った事ないけど。

じーちゃんは絵描きだった。

水彩画を描く人。

なんで油じゃなかったのか とか

そんなんは 知らない。

ただ 生前のばーちゃんの口から

ごくごく たまーに語られるじーちゃんの話は

うれしくって なんか どきどきして聞いた。

実際にじーちゃんの描いた絵を見るときは もっともっと どきどきした。


山梨の韮崎の近くに、桃畑がぶわーって広がってるとこがあって

それは季節になれば まるで桃源郷のように

桃の花がこれでもかって 咲き乱れて 桃色の香りに包まれるんだろな。

そんな桃の木々ごしに 南アルプスや甲斐駒ケ岳が 堂々と そこにあって

じーちゃんはここまで絵を描きに えっこらおっこら 出かけてたそうだ。

たぶん、食パン一斤もって、ちぎって消しゴムみたく使って



お正月、とーちゃんとその 冬の桃源郷をドライブした。

とーちゃんが語る じーちゃんの話も 好き。

行った事もないその時代を、子供のとーちゃんと 一緒に眺める感じ。

きっと じーちゃんが見た時と なんにも変わらない

アルプスと甲斐駒ケ岳。

ゆるやかなカーブを右に曲がった時

ほんの1秒たらずの 一瞬だけど

車の中が お香焚いたみたいな匂いで

永遠みたく 濃く 満たされたから

たぶん じーちゃんと 同じ景色 見てたんだ☆

一緒に 見た。


僕は絵描きさんじゃないし

じーちゃんみたく 上手に絵は描けないけど。

ただね 好きなんだよ。

自分中あるもんをね いろんな手をつかって 引っ張り出して

下手な絵に閉じ込めて

それを染め上げて 空に飛ばすんだ。

そんなんが 好きなんだよ。

そんなして染めたのを また1個 額に入れて

お正月、リビングに飾ったよ

じーちゃん どんな見てるんだろ?


お家帰って お仏壇にお線香立てて 手あわせて。

あれ?こんなときって何思うんだっけ?

なむなむ? うーとーと?

薄目開けてみたら 写真のばーちゃんが

全部 わかってるみたく

なんかいたずらっぽく笑ってて

僕もにやってして

出てきた言葉は 

ただ 

ありがとう 

だった。

きっと これで 正解☆









Posted by 紅天 at 01:54│Comments(2)
この記事へのコメント
濃密な時間

それを得るために

私は息をしています


全部正解☆
Posted by jopper at 2012年01月13日 07:59
jopperさん>>

深く 深く

言葉よりはやく 自分中広がってく

最近のいろいろが

だいぶ リアルです☆
Posted by 紅天紅天 at 2012年01月16日 01:04
 
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